宇宙開発の一環として、国土交通省は「宇宙無人建設革新技術開発推進プロジェクト」を進めています。
2030年代に月面での建設を見据え、2021年度より月面での建設作業を行うための建設技術開発に取り組んでいます。
2021年からの5か年は「基盤技術開発」を目的としており、技術開発をおこなう計画です。
その第一歩として、令和3年8月2日に無人建設革新技術開発参加者の一般公募が行われ、令和3年11月18日に技術研究開発の実施対象が発表されました。
【10件】技術研究開発一覧
一般公募の中から無人建設革新技術開発推進協議会による審査を経て、選出された10件の技術研究開発がこちらです。
- 月面の3次元地質地盤図を作成するための測量・地盤調査法
[実施者:立命館大学、芝浦工業大学、九州大学、海上・港湾・航空技術研究所、アジア航測] - 重力に依存しない杭圧入技術/インプラント工法®の宇宙空間での適用可能性に係る調査
[実施者:技研製作所] - 索道技術を利用した災害対応運搬技術の開発
[実施者:熊谷組、住友林業、光洋機械産業、加藤製作所、工学院大学] - 建設環境に適応する自律遠隔施工技術の開発-次世代施工システムの宇宙適用[実施者:鹿島建設、宇宙航空研究開発機構、芝浦工業大学]
- 自律施工のための環境認識基盤システムの開発及び自律施工の実証
[実施者:清水建設、ボッシュ] - 月面建設機械のデジタルツイン技術構築
[実施者:小松製作所] - 月資源を用いた拠点基地建設材料の製造と施工方法
[実施者:大林組] - 6軸3Dプリンタによる高強度CFRP建材の製造
[実施者:早稲田大学、東京理科大学] - 膜構造を利用した月面インフレータブル居住モジュールの実現可能性検討
[実施者:清水建設、太陽工業、東京理科大] - 月面における展開構造物の要件定義および無人設営検討
[実施者:大林組]
大学や建設会社による共同実施も含め、「無人建設」「建材製造」「簡易施設建設」分野の技術研究が幅広く集まりました。
今後、各技術研究開発ごとに1年間の実現可能性検証や最長5年間の技術研究開発が行われ、2023年もしくは2024年ごろに中間評価が行われる予定です。
技術研究開発テーマの詳細は以下の資料を確認ください。この資料は2021年11月18日に報道発表された資料を引用しています。
選出された10件の内容はこちらです。
1)月面の3次元地質地盤図を作成するための測量・地盤調査法
- 技術Ⅰ:無人建設(自動化・遠隔化)
- 測量・調査
- 実施者:立命館大学、芝浦工業大学、九州大学、海上・港湾・航空技術研究所、アジア航測
2)重力に依存しない杭圧入技術/インプラント工法®の宇宙空間での適用可能性に係る調査
- 技術Ⅰ:無人建設(自動化・遠隔化)
- 調査・施工
- 実施者:技研製作所
3)索道技術を利用した災害対応運搬技術の開発
- 技術Ⅰ:無人建設(自動化・遠隔化)
- 施工(輸送)
- 実施者:熊谷組、住友林業、光洋機械産業、加藤製作所、工学院大学
4)建設環境に適応する自律遠隔施工技術の開発-次世代施工システムの宇宙適用
- 技術Ⅰ:無人建設(自動化・遠隔化)
- 施工(掘削、積込等)
- 実施者:鹿島建設、宇宙航空研究開発機構、芝浦工業大学
5)自律施工のための環境認識基盤システムの開発及び自律施工の実証
- 技術Ⅰ:無人建設(自動化・遠隔化)
- 施工(敷均し等)
- 実施者:清水建設、ボッシュ
6)月面建設機械のデジタルツイン技術構築
- 技術Ⅰ:無人建設(自動化・遠隔化)
- 建設機械・施工
- 実施者:小松製作所
7)月資源を用いた拠点基地建設材料の製造と施工方法
- 技術Ⅱ:建材製造
- 実施者:大林組
8)6軸3Dプリンタによる高強度CFRP建材の製造
- 技術Ⅱ:建材製造
- 実施者:早稲田大学、東京理科大学
9)膜構造を利用した月面インフレータブル居住モジュールの実現可能性検討
- 技術Ⅲ:簡易施設建設
- 実施者:清水建設、太陽工業、東京理科大
10)月面における展開構造物の要件定義および無人設営検討
- 技術Ⅲ:簡易施設建設
- 実施者:大林組
今回選出された技術研究開発の中から、実際に月面での建設作業に活用される技術が生まれてくるか楽しみです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。