自動運転は、自動車の新たな時代を切り拓きます。
内閣官房が令和3年に発表した成長戦略フォローアップ(令和3年6月18日)では、自動運転の社会実装が掲げられ、自動運転を普及・促進していくことが示されました。
これにより、日本全体の成長戦略の一角として、自動車業界では「自動運転」がキーワードになることが予想されます。
では自動運転はどのような形で生活に溶け込んでいくのか?
「自動」と聞くと聞こえはいいですが、自動車の「自動」と言われると「本当に大丈夫?事故が起きないか怖い」と自動運転には懐疑的な意見が多いのではないでしょうか。私もいざ自動運転車に試乗するとしたら、少し怖いなと思ってしまいます。
が、しかし、自動車の流れはドライバーが乗車して車を運転するという「ドライバーによる監視」の時代から、システムの制御によって車を運転するという「システムによる監視」の時代へとカジを切っていきます。
数年後、数十年後には車道を走る車の運転席には、人が誰を座っていないことが当たり前になる時代がやってくるかもしれません。令和4年現在ではあまりイメージが湧きませんが、ドライバーが乗車する車のほうが希少な社会に移り変わっていくのかと思うと、どんな未来が待っているのか想像しただけでワクワクします。
自動運転の開発計画の流れをおおまかにでもおさえておくことで、時代の流れを先取りしましょう。
自動運転には【5つのレベル】がある。
自動運転には大きく分けて「5つ」のレベルが設定されています。
自動運転を普及・促進していくために5つの段階に分けて目標が設定され、自動運転の技術向上や実証実験等が進められています。
政府としては、2022年を目処に「レベル4」として設定されている「特定条件下における完全自動運転」を目指して自動運転の開発・支援を進めています。具体的には、限定地域にはなりますが遠隔監視での無人運転を実施するというものです。
2022年には一部の限定された地域に限りますが、運転席に乗るドライバーが自動車を運転するのではなく遠隔監視のもと自動車が自動で動く時代がやってきます。
自動運転の実現目標と進捗評価
令和3年6月15日に公表された官民 ITS 構想・ロードマップでは、自動運転の実現目標と進捗状況が出されました。こちらを見ると概ね計画通りに進んでおり、高速道路での自動運転が2025年を目処に実現していく予定です。高速道路では自動運転が当たり前の時代になっていきそうです。
では、自動車の用途別に自動運転がどのように活用されていくのかを見ていきます。
自家用の自動車
私達が普段の生活で乗っている自家用車には、自動運転がどのように絡んでくるのでしょうか。
自家用車には、高速道路や直進運転が可能な一般道で運転の手助けを行ってくれる技術が搭載され始めています。車線からはみ出さないよう前方の車に付いて走る自動運転によって、ドライバーの前方確認は必要ですがハンドルやアクセルをこまめに操作するストレスから開放されます。
ただし、街中での信号や交差点を自動で通過する自動運転はまだ開発段階のようです。街中でも自動運転ができるようになれば、出勤時や子供の送り迎えで車を使用している人の労力を大きく減らすことができるようになるかもしれません。
物流サービスの自動車
物流サービスで使用されるトラック等の自動車には、自動運転がどのように絡んでくるのでしょうか。
物流サービスのトラックには、先頭車を追跡する自動運転が搭載され、後続車の運転席にドライバーを乗せずとも車線変更等を行うことができる無人隊列走行技術が実現されています。
今後は2025年を目処に、高速道路でのトラック自動運転を目指して整備が進められる予定です。
高速道路で隣を走るトラックを見ると運転席に誰も乗っていない、そんな時代が手の届くところまでやってきているんですね。
移動サービスの自動車
主に人を移動してくれる移動サービスの自動車には、自動運転がどのように絡んでくるのでしょうか。
人を運ぶ高速バスでは、運転支援や自動運転が搭載される予定です。
地域限定の無人自動運転移動サービスでは、2020年12月22日に福井県永平寺町で、1名の遠隔監視操作者が3台の自動運転車を同時に監視して対応する自動運転移動サービスを成功させました。(自動運転レベル2)
2021年3月5日には、前回のレベル2からレベル3へ自動運転のレベルを引き上げた自動運転車が認可されています。改善された内容としては、1名の遠隔監視操作者が常時監視しなくても3台の自動運転車を走行させることができるようになった点です。
ただ、運行速度が12km/h以下であったり道路環境に制約があったりと、まだまだ改善の余地は残っていますがこれからの自動技術の開発に大いに期待ができる話題でした。
自動運転の未来。今後の展開は?
自動運転はどのような未来を創造してくれるのでしょうか。
人や物の移動手段は大切なライフラインです。流通がストップすると、生活に大きな影響がでます。
食べ物が届かない、燃料がなくなる、旅行に行けなくなるなど、移動手段はなくてはならないものです。一方で、ドライバーの過酷な勤務状況や居眠り、不注意によって多くの交通事故が発生しているのも事実。便利な半面、時に人の命を奪う道具にさえなりえます。
人工減少の一途をたどる日本にとって、ドライバー不足は深刻な社会問題になるかもしれません。「自動運転」はこのような社会背景の救世主となるのか。
社会生活に溶け込む「自動運転」を見てみましょう。
以下は、官民 ITS 構想・ロードマップで提示されている「地方部」「都心部(自家用車中心)」「都心部(公共交通中心)」別の自動運転が活用された未来のイメージ図です。
みなさんが住んでいる場所をイメージして、今後の生活がどのように変化するか想像しておくと面白いかもしれませんね。
地方部
都心部(自家用車による移動が中心の地域)
都心部(公共交通による移動が中心の地域)
「自動運転」の未来はいかがだったでしょうか。現状の「自動運転」の進捗状況やこれまでの流れ、これからの実現目標が少しはイメージできたでしょうか。技術は日々進化しています。今後はより進化速度が速くなっていくでしょう。頭の片隅に入れておくだけでもいいので、是非興味を持っていただけたら嬉しく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。