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東京の土砂災害リスクが高い場所は?調べる方法【2ステップ】

2022年1月9日

近年は、全国各地で自然災害が猛威を奮っています。

特に、急な大雨による河川氾濫や交通網の混乱、土砂災害などは毎年のように発生しては平穏な生活に刃を向けます。

令和3年7月3日に静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した土石流被害では、大雨によって大量の土砂が街を飲み込みました。多くの人命や住む場所、環境が一瞬のうちに失われたのは言うまでもありません。

当時の菅元総理は、7月12日の会見にて同じ場所に長時間激しい雨を降らせる「線状降水帯」に言及し、『線状降水帯、その発生を予測するための資機材だとか、あるいは開発、思いきって前倒しで進めたい』と、発言しました。現在の自然の傾向をつかみ、未来の災害をできるだけ抑止しようと、政府としても研究に力を入れていく方針を示しています。

このようなニュースを受けて、『東京は大丈夫なの?』『都内に住んでるけど、土砂災害のリスクはないよね?』、そんな不安が生まれてくるかもしれません。

  • 都内はコンクリートジャングルだから土砂災害とは無縁
  • 東京に土砂災害が発生するイメージがない

東京に住んでいると、土砂災害が発生するイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。

確かに、土砂災害は山奥や崖地で多く発生するため、「東京」と「土砂災害」が直接結びつきにくいと思います。事実、熱海市で発生した土石流被害も山に囲まれた土地でした。

ただ、「東京」と「土砂災害」が無縁であるかというと、その答えは『NO!』です。

東京にも、土砂災害の危険がある場所があります。

とはいいつつ、

  • 都内で土砂災害の危険な場所がわからない
  • 危険な場所をどうやって確認すればいいの?

と、よくわからないという方も多いと思います。そんな方へ、都内の土砂災害に関する情報を調べる方法についてお伝えします。

今回お伝えしたいことは、こちらの2つ。

  • 1)東京で土砂災害の危険がある場所
  • 2)東京で土砂災害の危険がある場所の調べ方【2ステップ】

春夏秋冬、四季折々の季節を楽しめる日本ですが、毎年訪れる梅雨の時期は、特に災害のリスクが高まります。

自分だけでなく、周りの大切な方の命を守るためにも、基礎知識として知っていただければ幸いです。

1)東京で土砂災害の危険がある場所は?

東京で土砂災害の危険がある場所はどこなのでしょうか?

東京都建設局によると、平成20年から平成29年までの10年間で東京都で発生した土砂災害は合計74件で、毎年10件前後の土砂災害が発生しています。発生箇所は下図のとおりです。

過去の土砂災害の状況を見ると、23区内よりも多摩地区や伊豆諸島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島)、小笠原諸島(父島、母島)で多く発生していることがわかります。

では、「23区内は土砂災害の危険がないのか?」というとそうではありません。

近年土砂災害は発生していなくても、将来土砂災害が発生するリスクの高い区域を東京都で指定しており、その数は区部多摩合計で15,000箇所以上にのぼります。大部分が多摩及び島しょに存在していますが、23区内も1,000箇所以上が土砂災害の危険がある箇所に指定されているのです。

※東京都が公表している令和3年11月11日現在の情報を参考にしています。各区市町村ごとの件数の最新情報はこちらからご確認ください。

警戒区域(イエローゾーン)と特別警戒区域(レッドゾーン)って何?

土砂災害の指定区域を調べていると、「警戒区域」「特別警戒区域」という用語が出てきます。

「警戒区域」とは、「土砂災害警戒区域」のことで通称「イエローゾーン」と言われており、「特別警戒区域」とは、「土砂災害特別警戒区域」のことで通称「レッドゾーン」と言われています。イエローゾーンとレッドゾーンは、土砂災害防止法に基づいて土砂災害から都民の生命を守るために東京都が指定しています。

引用元:東京都建設局ホームページ

下の図を見ていただくとイエローゾーンとレッドゾーンのイメージが湧くと思います。

イエローゾーンは、土石流や地すべり、がけ崩れなどの土砂災害が発生した場合に、住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる区域を指します。

イエローゾーンとして指定された区域の中でも、建築物の損壊が生じて著しい危害が生ずる恐れがある区域をレッドゾーンとして指定しています。

土砂災害が発生するリスクがある土地がイエローゾーンとして指定され、その中でも被害大きい土地にはレッドゾーンが指定されているというイメージです。

2)東京で土砂災害の危険がある場所の調べ方【2ステップ】

東京で住む場所を決めるとき、できれば危険のある場所を避けたいという人が多いのではないでしょうか。そんなときに、

  • 今住んでいる家は土砂災害の危険がある?
  • 今後住む場所は土砂災害の危険区域に指定されてる?
  • 家を購入するので土地の安全性を調べておきたい

といった疑問が浮かぶのではないかと思い、調べ方を整理しました。

次の2ステップでざっと確認してみてください。

  • 土砂災害警戒区域等マップを使ってイエローゾーン・レッドゾーンの指定があるか調べる
  • 指定されていれば各区市町村のハザードマップを見て詳細を確認する

1 土砂災害警戒区域等マップを使ってイエローゾーン・レッドゾーンの指定があるか調べる

土砂災害警戒区域等マップ」を使用することで、都内の土砂災害危険区域であるイエローゾーンやレッドゾーンの場所を調べることができます。

土砂災害警戒区域等マップのリンクから利用の注意事項を読んで「同意する」をクリックします。

土砂災害警戒区域等マップが開くと地図上に黄色(イエローゾーン)と赤色(レッドゾーン)の表示がでます。住所検索や市町村選択、凡例の表示非表示などの操作を行うこともできます。

地図上でスクロールすることで拡大し、黄色や赤色で着色された部分をクリックすると着色部分の周りが青線で囲われ、検索結果として土砂災害の現象名や所在地、告示年月日、公示図書が左側に表示されます。

公示図書のPDFリンクを開くと、詳細な位置図とともにイエローゾーンとレッドゾーンの範囲を確認することができます。

もしこの範囲に住居地等が入っていれば土砂災害のリスクが高い場所だということがわかります。

土砂災害警戒区域等マップ」を見ていくと、都内にも土砂災害の危険性が高い場所が多く点在していることに気づくはずです。

2 指定されていれば各区市町村のハザードマップを見て詳細を確認する

もし、イエローゾーンやレッドゾーンに入っている場合は、被災する可能性が高い場所であるため、事前の情報収集を十分に行っておくことが必要です。

各区市町村では、独自の「土砂災害ハザードマップ」を作成し公表しています。土砂災害警戒区域等マップで調べた区市町村のハザードマップを参考に、より詳細な場所や情報を収集してください。

レッドゾーンでは開発行為に対する許可が必要だったり、建築物の構造規制があったりと、法的規制が行われます。このため、事前に十分な情報収集が必須です。

自然災害、次は我が身の意識と日頃からの情報収集を。

自然災害はいつなんどき発生するかわからないため自分ごととして常日頃考えておくことは無理だと思います。ただ、これだけ毎年のように自然災害が発生している中で、自然の前には無力だということを毎回のように感じさせられます。

各自治体では、このような自然災害(今回は土砂災害に焦点を絞りましたが)に対しての準備ができるよう様々な情報を発信しています。

自然災害から人命や家、財産を守るためにも、行政から公表された情報を多くの人に知ってもらう必要があるのではないかと思っています。

住んでいる場所や今後引っ越しする場所など、事前に土地の特徴を調べる際にも活用していただければ嬉しく思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。

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みむら たけし

土木屋/国家総合職・国家一般職・都庁・県庁の4公務員試験に合格/野球10年/サッカー好き/イギリス・スペインでサッカー観戦(マンU・バルサ・レアル)/カリフォルニア州にホームステイ/全国400店舗達成/“Stay hungry, stay foolish”/2021年3月からブログ運用中!!

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