政策

月20万円のベーシックインカムがあれば生活は豊かになるのか?

2021年9月7日

月20万円のベーシックインカムがあれば生活は豊かになるのか?

今回は、「月20万円のベーシックインカムがあれば生活は豊かになるのか?」について考えていきます。

本ブログの流れは以下のとおり。

  • 結論:月20万円のベーシックインカムがあっても、生活は豊かにならない。
  • 理由:お金を与えてもらい続ける限り、生活の不安は消えないから。
    • 具体例1:働かなくなる
    • 具体例2:稼ぐ力がなくなる
    • 具体例3:20万円をどのように使うかしか考えなくなる
    • 具体例4:働き手が減り、商品やサービスが枯渇する
    • 具体例5:いつ20万円の支給がなくなるか毎日怯える日々
  • 反論:月20万円のベーシックインカムは、生活にゆとりをもたらす。
    • 具体例1:生活費がまかなえるため、無理な働き方をしなくてよい
    • 具体例2:子どもを育てる余裕が生まれる
    • 具体例3:利益を追求しない仕事に就けるため、自由かつ奇抜な発想が生まれやすい
  • 結論:受け身のままでは生活は豊かにならない。自ら考え抜く力こそが、支配されない真の豊かさ。

結論:月20万円のベーシックインカムがあっても、生活は豊かにならない。

結論、月20万円のベーシックインカムが最低所得保障として定額支給されるとしても、多くの人の生活は豊かにならない、というのが私の意見です。

基本所得保障や最低生活保障ともいわれる「ベーシックインカム」は、国民がみな平等に、ある一定額の最低限生活できるお金を受け取るものです。

働く働かないに関わらず、毎月自分の口座にお金が入るというのはなんとも魅力的。ベーシックインカムの世界を想像しただけでも、よだれが止まりません。

もし、9時〜17時の週5勤務をしなくても月20万円が手に入るとすれば、多くの人の生活が楽になることは間違いないでしょう。働かない人生、といった最近の走りである「自由」がつかみ取れるかもしれません。

ただ私は、月20万円のベーシックインカムを手に入れても、大多数は生活が豊かにならないと考えます。

その理由を、具体例をまじえてご説明します。

ベーシックインカムには、肯定する意見もあれば批判的な意見もあります。つまり、答えのない問いだということです。答えのない問いに対して自分の意見を構築する習慣を身につけておきましょう。

理由:お金を与えてもらい続ける限り、生活の不安は消えないから。

私が、月20万円のベーシックインカムがあっても生活が豊かにならないと考える理由は、結局のところ他人に依存し続ける限り生活の不安が消えることはない、そう思うからです。

ベーシックインカムとは、求めずともお金を振り込み続けてくれるロボットのようなもの。我が子が可愛すぎて、子供の世話が辞められない過保護がいき過ぎた親のようです。そんな環境で育てられた子どもはどのように育っていくか、想像は難しくないはずです。

具体例1:働かなくなる

ベーシックインカムという一方的にお金を与えられ続ける体験に味をしめた多くの人は、自ら働かなくなるでしょう。仕事は、やり過ぎると体を壊してしまいますが、適度に体や頭を動かす仕事は活力を与えてくれます。

仕事をやめてから急にボケ始めた。そんな話を身の回りで聞いたことはないでしょうか。多少のプレッシャーを感じつつ、生活のために働かないといけないという縛りがある環境は、すべてが悪とはいえません。

具体例2:稼ぐ力がなくなる

お金を与えられ続けて働かなくなった人は、自分の力でお金を稼ぐ力がなくなります。与えられることに慣れた人が、自ら労働力などを駆使してお金を稼いでいくことができるでしょうか。まず無理でしょうね。

知識も知恵も、スキルも人脈もない、抜け殻と化してしまう未来が容易に想像できます。となれば、自分の力に自信なんか持てるはずもなく、いつまで経ってもベーシックインカムに頼り続ける生活が続きます。

具体例3:20万円をどのように使うかしか考えなくなる

自分で稼ぐことを忘れた人は、月20万円のベーシックインカムに固執することになるでしょう。だって、与えられる20万円がなくなると生活が成り立たなくなりますから。毎月入ってくる20万円をどのように使おうか、どう節約しようか、といったムダな出費を抑えることに必死になるはずです。

「20万円を増やしていく」という発想ではなく、決められた20万円という枠のなかでどう配分していくかをひたすら考え続ける日々がやってきます。

具体例4:働き手が減り、商品やサービスが枯渇する

ベーシックインカムにどっぷりハマった人はほとんどの人が働かないでしょう。働き手が減ると、社会に提供されるサービスや商品も少なくなってきます。少数精鋭でいいサービスや商品が増えればいいですが、ワクワクするような機会が減る社会は退屈です。

無駄な出費せず、20万円を節約する層には影響のないことかもしれません。が、世の中から楽しいサービスやワクワクする機会、喉から手が出るほど欲しい商品が消滅してしまうものほどつまらない人生はないと思います。

具体例5:いつ20万円の支給がなくなるか毎日怯える日々

自己スキルを捨てたベーシックインカムのみに頼る人は、月20万円の支給こそが生命の源です。もしものことがあっても、ベーシックインカムという政策が途中で頓挫することは許されません。なぜなら、それは死を意味するからです。

支給日に、口座に着金しているのを確認して安心する。そんな怯える日々を送りたいでしょうか。私はイヤですね。

反論:月20万円のベーシックインカムは、生活にゆとりをもたらす。

ここまでは、ベーシックインカムによって生活の不安が消えることはないという主張をしてきました。ここからは、ベーシックインカム肯定論についても考えてみようと思います。

ある一定の方向から物事を見るのではなく、別の角度や時には俯瞰して物事にアプローチすることは視野を広げてくれます。

具体例1:生活費がまかなえるため、無理な働き方をしなくてよい

好きでもない仕事に就職し、面倒くさい職場の人間関係に疲弊しながらも、なぜ多くの人は働き続けるのでしょうか。それはやはり、生きるための生活費を稼ぐため。お金を稼がないと家賃も食費も支払うことができません。

だからこそ、時間に余裕を作ることもできず、「労働→稼ぐ」のサイクルを繰り返していきます。時には、遅くまで残業を長時間して体を壊すことだってあります。

ベーシックインカムは、ベースの生活費を担保することができるため、無理に働く必要がありません。自分の時間や趣味、学びに費やすことができます。選択の自由度が広がり、心の余裕に繋がるはずです。

具体例2:子どもを育てる余裕が生まれる

日本だけに限ることではないですが、日本に住んでいて思うことは、「子育てする環境が厳しすぎる」ということ。環境の厳しさには、2つの要因があると考えています。1つ目は子育てに多くのお金がかかるということ、2つ目は子育てに充てられる時間が少ないこと、が挙げられます。

夫婦2人でさえ、それほど贅沢な生活ができないのが現状です。共働きが当たり前の世の中では、勤務時間で1日の大半が消化されます。ゆとりを持って子どもを育てられる環境があまりに劣悪であると言わざるを得ません。

もし最低限の生活費がベーシックインカムで賄えるのなら、子育てに比重をおいた生活が実現するでしょう。

具体例3:利益を追求しない仕事に就けるため、自由かつ奇抜な発想が生まれやすい

利益を追求することは悪いことではありません。会社は利益を生むことを最大の目的にしています。ただ、目先の利益ばかりに囚われすぎると、粗悪な商品を販売したり、売りたくもない商品を営業したりしてしまいがちです。

同様に、生活費を稼がないといけないという強迫観念に駆られると、安定して稼ぐことに執着し始めます。つまり、前例踏襲で冒険をしない作業の繰り返しになるのです。そんな仕事のやり方では成長は期待できませんよね。

ベーシックインカムによって利益を追求しない働き方をする人が増えれば、自由で奇抜な発想が全国各地で生まれ始め、活気ある社会を再構築する力があるのではないかと希望が持てます。

結論:受け身のままでは生活は豊かにならない。自ら考え抜く力こそが、支配されない真の豊かさ。

今回は、「月20万円のベーシックインカムがあれば生活は豊かになるのか?」について考えてきました。ベーシックインカムを受け身で与えられ続けるまでは、生活が豊かになる実感を得ることは難しいというのが私の考えです。一方で、ベーシックインカムのポテンシャルにもかなりの期待ができるのも事実です。

世の中は日々豊かになり続けています。生まれた場所によって、仕事や身分が確定する時代ではなりません。仕事を選ぶも、どんな生き方をするも、自分次第で決められます。他人に支配されない生き方こそが、真の豊かさに通ずるのではないでしょうか。

みなさん自身ならどう考えるか。答えのない問いに向き合う練習をしてみてはいかがでしょうか。必ずや将来役に立ちます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。

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みむら たけし

土木屋/国家総合職・国家一般職・都庁・県庁の4公務員試験に合格/野球10年/サッカー好き/イギリス・スペインでサッカー観戦(マンU・バルサ・レアル)/カリフォルニア州にホームステイ/全国400店舗達成/“Stay hungry, stay foolish”/2021年3月からブログ運用中!!

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