都庁の昇任選考のひとつである「管理職選考」。
東京都の職員採用試験に合格し入都すると、都庁人生の中で最大3つの昇任選考を経験することができます。
それが、「主任級職選考」、「管理職選考」、「課長代理級職選考」の3つです。
昇任選考の内容を簡単に説明すると、
- 「主任級職選考」とは、都庁採用時の「主事」から「主任」に昇任するための選考
- 「管理職選考」とは、「主任」もしくは「課長代理」の職員が課長級以上の「管理職」に昇任するための選考
- 「課長代理級職選考」とは、「主任」から「課長代理」に昇任するための選考
といった感じ。
これらの昇任選考は「国籍」「年齢」「一定の在職期間」などの条件を満たす都庁職員が受験でき、ステップアップの機会として設けられています。ここでは紹介しませんが、特に「主任級職選考」は入都最初の昇任選考であり、多くの職員が受験します。
私は主任級職選考に合格し、令和4年度「管理職選考」の受験資格を得たので、管理職選考に挑戦する予定です。
そこで今回は、都庁の「管理職選考」について解説していきます。
「管理職選考」とは?
「管理職選考」とは、「主任」もしくは「課長代理」の職員が課長級以上の「管理職」に昇任するための選考です。つまり、「管理職選考」とは、管理職(課長級以上)を目指す試験を指し、管理職選考に合格すると課長級以上(課長級→部長級→局長級)とステップアップする機会を得ることができます。
事務系では都知事を補佐する副知事に、技術系の土木・建築では副知事に準ずるポストとして都技監になれる可能性があります。
ただ、肌感としては「主任級職選考」よりも受験者数や熱量は落ちるような気がします。「管理職を目指さない」という選択をとる人が多いのも事実です。
「管理職選考」の種類
管理職選考には2つの種類があります。
- 管理職選考A
- 管理職選考B
管理職選考Aと管理職選考Bは、役職や年齢によって受験の可否が異なってきます。
受験資格と選考方法
受験資格と選考方法は、「管理職選考」の種類によって異なります。
受験資格
- 管理職選考A:主任級歴2年以上6年未満、かつ、年齢53歳未満
- 管理職選考B:課長代理級以上歴3年以上、かつ、年齢56歳未満
選考方法
管理職選考A
- 筆記考査(択一、記述(技術系のみ)、論文)
- 勤務評定
- 口頭試問(個別面接2回)
- 適性評定(口頭試問受験者のみ)
管理職選考B
- 筆記考査(記述、論文)
- 勤務評定
- 口頭試問(個別面接2回)
- 適性評定(口頭試問受験者のみ)
合格者予定者数
管理職試験の合格者予定者数は以下のとおり。
令和4年度
第58号議案より引用。
管理職選考A
- 事務系:37名
- 土木:4名
- 建築:2名
- 機械:1名
- 電気:1名
- ICT:1名
- 生物・医化学:1名
管理職選考B
- 事務系:67名
- 土木:16名
- 建築:3名
- 機械:3名
- 電気:2名
- 生物・医化学:7名
令和3年度
第58号議案より引用。
管理職選考A
- 事務系:37名
- 土木:4名
- 建築:2名
- 機械:1名
- 電気:1名
- 生物・医化学:1名
管理職選考B
- 事務系:67名
- 土木:16名
- 建築:3名
- 機械:3名
- 電気:2名
- 生物・医化学:7名
令和2年度
第67号議案より引用。
管理職選考A
- 事務系:37名
- 土木:4名
- 建築:2名
- 機械:1名
- 電気:1名
- 生物・医化学:1名
管理職選考B
- 事務系:67名
- 土木:17名
- 建築:3名
- 機械:3名
- 電気:2名
- 生物・医化学:8名
令和元年度(平成31年度)
第50号議案より引用。
管理職選考A
- 事務系:39名
- 土木:4名
- 建築:2名
- 機械:1名
- 電気:1名
- 生物・医化学:1名
管理職選考B
- 事務系:69名
- 土木:18名
- 建築:3名
- 機械:3名
- 電気:3名
- 生物・医化学:8名
平成30年度
第68号議案より引用。
管理職選考A
- 事務系:37名
- 土木:4名
- 建築:2名
- 機械:1名
- 電気:1名
- 生物・医化学:1名
管理職選考B
- 事務系:72名
- 土木:18名
- 建築:3名
- 機械:3名
- 電気:3名
- 生物・医化学:8名
「管理職選考A」の合格率
管理職選考の受験者数が公開されていないため、公開情報に基づいた合格率を算出してみたいと思います。
令和4年度の「管理職選考A」の合格率は、
- 土木:約1%
- 事務系:約2%
100人に1人とか50人に1人程度の合格といったイメージ。
合格者数が極端に少ないため合格倍率は非常に高くなります。
ただし、この合格率は過去4年間の主任試験合格者数を参考に算出したため、主任試験合格者全員が管理職選考Aを受験する想定です。先述したように、「管理職を目指さない」人も多いためもう少し合格率は上がると思います。とはいっても狭き門に変わりはありません。
令和4年度管理職選考Aの合格予定者数
- 土木:4名
- 事務系:37名
選考方法の具体的な内容
管理職選考Aと管理職選考Bの選考内容は以下のとおりです。
管理職選考A
筆記考査では、統制事情や政治経済、行政管理、経営といった内容の択一試験と、技術系は各分野ごとの記述試験と、資料を読み解いて問題分析と解決策を論述する論文が課されます。
この筆記考査に加えて勤務評定の成績を総合的に判断し、合格予定者数の1.5倍程度(土木6名程度、事務系56名程度)が口頭試問に進みます。
管理職選考B
筆記考査では、事務系と技術系の各分野に関する記述試験と、論文が課されます。
この筆記考査に加えて勤務評定の成績を総合的に判断し、合格予定者数の1.5倍程度(土木24名程度、事務系101名程度)が口頭試問に進みます。
今回は、都庁の「管理職選考」について解説してきました。
入都してから経験できる「管理職選考」のイメージが少しはできたでしょうか?
他の自治体でも、様々な昇任選考が行われていますが、所属していない他組織の昇任の仕組みを知る機会はなかなかないなず。
公務員の場合は、採用試験から昇任選考まで内容の大部分が一般に公開されています。
とはいっても、モノ好きではない限り細かい内容まで調べる機会はないだろうと思い、今回まとめてみた次第です。
公務員として働き始めた後のイメージや出世レースの状況が少しでも伝われば嬉しく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。
《注》ここで書かれている内容は、あくまで個人見解であり、東京都の見解ではありません