今回は、「親の終活」について考えていきます。
本ブログの流れは以下のとおり。
- 終活とは
- 家族みんなで「親の終活」について話し合った3つの理由
- 理由1:話しにくいことだから
- 理由2:遅かれ早かれ訪れることだから
- 理由3:事前に共有しておくことで備えられるから
- 話し合った内容
- 内容1:貯金口座と預金総額
- 内容2:引落状況と引落口座
- 内容3:住宅ローンの残高
- 内容4:現在の1ヶ月の支出内容と支出額
- 内容5:年金の受取り予定額
- 内容6:お墓のこと
- 話し合って良かったこと
- 終活の話を切り出すときの注意点
- 結論:親の終活は親だけの問題ではない。全員で力を合わせる時代。
終活とは
終活とは、人生の終わりのための活動のことをいいます。人生の最期を迎えるにあたり、事前に準備をしておくことを指します。
終活というと「死」が連想されるためマイナス感情が働く人もいるかもしれませんが、終活とはあくまで人生を素敵な最期にするための前向きな活動です。計画的に身の回りを整理しておくことで、極力周囲の人の負担を減らすことができます。残された人に迷惑がかからないと分かっていれば安心材料となり、老後生活の不安解消にも繋がっていきます。
家族みんなで「親の終活」について話し合った3つの理由
家族で「親の終活」について話し合った経緯をご説明します。理由は3つあります。
- 理由1:話しにくいことだから
- 理由2:遅かれ早かれ訪れることだから
- 理由3:事前に共有しておくことで備えられるから
理由1:話しにくいことだから
「死」に直結する「終活」の話を親にするのってなかなか勇気のいることですよね。親の老後のためといっても、なかなか話を切り出すことは容易ではありません。
だからこそ、家族みんなで「親の終活」について真剣に話し合おうと決断しました。話しにくい話題はどうしても後回しになるものです。ただ、そんな話しにくい話題こそ早期に解決しておく必要があるのです。先延ばしにしてはいけない話題は先に手を付けるのが鉄則です。
理由2:遅かれ早かれ訪れることだから
遅かれ早かれ「親の死」には直面します。親が長生きして自分のほうが先に死ぬこともあり得ますが、確率的には先に親のほうが死ぬでしょう。その場合、死という悲しみの中手続きやお金の管理などをするのは残された者ですよね。これこそが現実なのです。
結局訪れる問題だったら、家族全員が元気なうちに話し合っておくほうが皆のストレスも少なくなるのではないかと。親が危篤状態になった後にあれこれ話し合うのは私は気が引けるなと思ったので。
理由3:事前に共有しておくことで備えられるから
何事も早めに問題を共有しておくことは備えに繋がります。問題や課題が不明な状況ではいくら考えてもいいアイデアを出すことはできません。早い段階で問題を抽出しておくことが気持ちの余裕を作り出してくれます。
親がひとりで抱えるより家族全員が親の終活に関する問題を知っておいたほうがリスク分散になります。結局一人の力には限界がありますから、難しい問題こそ早めに情報を共有しておくことが必要だと思います。
話し合った内容
「親の終活」について家族で話し合った内容を紹介します。6つの内容を話し合いました。
- 内容1:貯金口座と預金総額
- 内容2:引落状況と引落口座
- 内容3:住宅ローンの残高
- 内容4:丸剤の1ヶ月の支出内容と支出額
- 内容5:年金の受取り予定額
- 内容6:お墓のこと
内容1:貯金口座と預金総額
1つ目は、貯金口座と預金総額について。
まずはじめに現在持っている貯金口座を把握するため通帳をすべて確認しました。いくつ貯金口座を持っているか把握しておくことで親が死んだときの手続きがスムーズになります。すべての口座を知っていれば、変な引き出し等がないかチェックをすることもできます。
加えて、現状の預金総額も確認しました。どの口座にいくらほど入っているか確認したことで、親の老後資金の状況と今後援助が必要になってくるかの想定をすることができます。老後の病院代や入院費、葬式代など大きな出費に耐えうるか共有しておくことが重要です。
内容2:引落状況と引落口座
2つ目は、引落状況と引落口座について。
どの口座からどのような出費がどの程度あるのか確認しました。親が死亡して銀行口座を止められた場合、支払いが滞るのを避けるためです。親本人のルールの中で、複数の口座から複雑な支払いをしていると、他の人はまったくもって内容を把握することができません。
日常使いのクレジットカードの引落しや保険料の支払いなど、そもそもどのような支出を親が抱えているか知っている人は少ないのではないでしょうか。万が一のときのためにも、引落しで使っている口座を確認しました。
内容3:住宅ローンの残高
3つ目は、住宅ローンの残高について。
住宅ローンの支払いは支出の中でも大きな割合を占めます。完済しているのか、老後も一定額の支払いが必要なのかはお金の面で老後生活に大きな影響を与えます。
住宅ローンの総額、月々の支払状況、残りの残高、老後の支払予定など支出の肝となる住宅ローンについてはしっかりと情報を共有しておきましょう。
内容4:現在の1ヶ月の支出内容と支出額
4つ目は、現在の1ヶ月の支出内容と支出額について。
貯金は大きな支出のときの担保としてとっておくとして、「収入−支出」がプラスになれば問題なく老後生活を送ることができるということになります。そのためには、まず支出額を把握することが必要不可欠です。支出額の把握は現在の支出内容と支出額から概算額を算出してみましょう。
ポイントは少し多めに見積もっておくこと。老後生活を推定するためにも細かな支出でもリストアップしましょう。支出内容をリストアップして支出額を多めに算出しておけばある程度の生活費が共有できます。
内容5:年金の受取り予定額
5つ目は、年金の受取り予定額について。
内容4でお話した「収入」に該当する内容です。仕事を退職した後は会社からの収入がゼロになります。そこでアテになるのが年金です。私達の時代は年金受給ができなくなっているかもしれませんが、いまの50代〜60代は多少なりとも年金を受給できるでしょう。
その受給額が月いくらなのかを把握しないことには、生活費の収支を予測することができません。もし支出が多い場合は貯金を毎月切り崩すことになります。その場合、貯金残高から何年耐えることができるか計算しておく必要があります。
年金は受給開始年齢に応じて受給額が変動します。年金制度の仕組みを確認しつつ、戦略を立てていくことが必要になります。
内容6:お墓のこと
6つ目は、お墓のことについて。
お墓を持っている場合、維持管理が必要になります。お墓を建てるお金を完済していても管理費として定期的に支払いが生じる場合もあります。また、お墓を誰が立てて誰がそのお墓に入っているのか、親戚と話し合いをする内容はあるかなど事前に確認しておきましょう。
毎年お盆にお墓参りをしていても、お墓の実情を知らない人は多いのではないでしょうか。これを機会に親に確認しておきましょう。
話し合って良かったこと
親の終活という話題にしにくい内容を家族で話し合うことについて振り返ってみると、良かったと思えることがいくつかありました。
その中でも最も良かったと思ったことは、親の老後に関する「お金」と現状の「お金」を家族全員で確認できたことです。
日本では、貯金のことや支払いのことなど「お金」に関する内容を話すことはタブーとされている風潮があります。お金の話ばかりしていると、お金にがめつい汚い奴というレッテルを貼られることもあるでしょう。ただ、この社会を生きていく上で「お金」の問題からは避けては通れません。
お金のことを十分理解できていないと、退職金をよくわからない投資先に全額投入してしまうというバカげた行動をとってしまいます。身内の死を受け入れられない心理状態の中、葬儀代はいくら必要だの、財産の相続はどう分配するだの、お金の管理に追われ精神的に病んでしまう人は少なくない。
お金に対する耐力がない人が、人の死を目の前に他人のお金の管理をできるわけがないと思います。それは家族であっても同じこと。親や兄妹だとしても所詮他人なのです。
残された者がメンタルを病まずに淡々と対応するためにも、事前の準備が必要です。今回の「親の終活」「親の死」について話し合った機会はとても意味のある時間になりました。
終活の話を切り出すときの注意点
親の死に直結する終活の話を切り出すことは容易なことではないと思っています。私自身も言い出すまでにどのように切り出すか悩みました。
親が怪訝な顔をしたらどうしよう、落ち込んだらどうしよう、キレてきたらどうしよう、親を殺すきか!と怒鳴ってきたらどうしよう、親のお金奪う気かと不審がられたらどうしよう、と色々なことを想像してしまいました。雰囲気やその時の状況、最初のアプローチ、言葉の選び方に最新の注意を払わないと、終活の話が頓挫してしまうと思います。
最初の切り出しを間違ったがために言い合いになり、その後親の終活について話すことができなくなったという展開だけは避けないといけないのです。
そこで私は、2つのことを意識して話を切り出してみました。
まずひとつ目が、お酒を飲んでいる場で話を切り出さないこと。ふたつ目が、親の老後生活を心配しているということを真剣に伝えること、です。
お酒が入らないと照れくさくて親と真剣な話をできないという人もいるでしょう。ただ、お酒が入ると話しやすい状況は作れますが発する言葉に多少の勢いや煽りが入ってしまいます。ストッパーがお互いに外れた状況では揉める原因にも繋がりかねません。終活というナイーブな話だからこそお酒が入っていない状況で話を切り出すことをおすすめします。
何より、このような話づらい内容を話すときには自分の真剣さを伝える姿勢が重要だと思います。親の老後の生活を心配しているという本心を伝えればわかってくれるでしょう。もし貯金口座の状況をひとりだけ知っているとすれば非常にリスクが高いといえます。もしその人が死んだらその貯金口座がどうなっているか誰も知る余地がありません。だからこそ、リスク分散のため最低でも2人はその内容を知っておく必要があります。
もし親が死んだ後も残された者が困らずに対応できるよう元気なうちに身の回りの整理を一緒にしようよ、と伝えるのです。
結論:親の終活は親だけの問題ではない。全員で力を合わせる時代。
今回は、「親の終活」について考えてきました。
親の終活を赤裸々に話すことができる人は多くないでしょう。私も言葉に詰まりながら話を切り出しました。
ただ、核家族世帯が増え、近隣の付き合いが減っている現代において、親の終活を親だけの問題にしてしまうのは無理があるように感じます。当事者だけが自分の死に向き合うのは今後時代遅れの考え方になっていくでしょう。
協力できる人が少なくなっている日本社会だからこそ全員で力を合わせて「親の終活」を考えていかなくてはいけません。事前の準備こそが、親だけでなく家族全員の不安を払拭します。安心感を与えるのです。
我々もいずれは歳を取り自分の死と向き合うことになります。結局のところ苦労をかけてしまうのは残された家族です。私は周りに苦労をかけたくないと思っています。だからこそ、将来は自分の「終活」について自ら話を切り出していきたい、そう思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。