考え方

階級や格差がない「平等な社会」はすべて自己責任。不平等が前提のノブレス・オブリージュ。

2021年9月26日

階級や格差がない「平等な社会」はすべて自己責任。不平等が前提のノブレス・オブリージュ。

今回は、「階級や格差がない平等な社会」について考えていきます。

本ブログの流れは以下のとおり。

  • 結論:「平等な社会」は自己責任を強いる
  • 理由:条件が平等である以上、成功するかどうかは本人の力量次第になる
    • 貧富の格差は自己責任
    • 逃げが許されない
    • 「政府や世の中が悪い」が通用しない
  • 反論:世界は平等を追い求める
    • 世界人権宣言には人間の平等が明記されている
  • ノブレス・オブリージュという考え方
    • ノブレス・オブリージュは階級・格差が前提になっている
  • まとめ:「平等」の厳しさを認識しておこう

結論:「平等な社会」は自己責任を強いる

結論、「平等な社会」は自己責任を強いる社会です。

現実問題、階級や格差が存在する世の中で「平等」を目指すことは美談として語られることが多くあります。生まれながらにして不当な差別を受けていた歴史からも、世の中が平等であることは全人類が求める最終形態でしょう。人種や性別、見た目などで公平性が失われる社会は絶対に許してはいけません。

その一方で、階級や格差が存在しない「平等な社会」には厳しい現実があります。平等な社会に潜む厳しい現実とは、すべて結果が自己責任になる、ということです。階級や格差がある社会は不公平でありますが、不公平でない平等な社会は個々人に対して結果が求められるようになります。

平等な社会を目指すことは人類の目標でもありますが、平等な社会が訪れた先にある厳しい現実にもイメージを持っておくことが重要かと思います。「平等」というのは聞こえのいい言葉であるがゆえ、平等であることが正義のように語られることがあります。

「平等」が訪れると本当にあなたは幸せになるのか?うわべだけの理想として平等を掲げるのではなく、その本質にも目を向けてみましょう。

理由:条件が平等である以上、成功するかどうかは本人の力量次第になる

私が「平等な社会」は自己責任を強いるという考えを持っている理由は、すべての条件が平等である以上、施工するかどうかは本人の力量次第になると考えているから。

仮に平等な社会が完成すると、生まれながらの前提条件は全員が平等であることになります。つまり、人生のスタートラインは全人類が同じだということ。そこに格差は生まれません。

となれば、人生がスタートしてからの良し悪しはすべて本人の頑張り次第ということになります。良し悪しの原因はすべて人生の過程によるものだということです。

成功すればあなた自身が人一倍努力したから、失敗したらあなた自身が他人よりも劣っていたからという明らかな区分けが発生するでしょう。

貧富の格差は自己責任

階級や格差が存在しない以上、すべての成果や結果は本人の責任として扱われます。よい結果をおさめ続ければ豊かになれます。その一方で、成果が出ず失敗続きで貧しくなればその原因はあなた自身にあります。

平等によって生じた自己責任は、多くの人に大きな苦痛を与えるでしょう。

「失敗したの?お前のせいじゃん」「努力が足りなかったんだね」「もっと頑張らないからだよ」と。

貧しくなったのはお前の責任。生きにくい環境を作ってるのはお前の責任。

そんな至極冷たい言葉の刃を突きつけられる社会になってしまうのではないかという懸念が拭えません。

そもそも日本社会には「他人の失敗を許さない」という風潮があります。「平等な社会」が訪れると、この流れが加速していきそうで非常に切ない気持ちになります。

逃げが許されない

「平等な社会」は逃げを許してはくれません。

スタートラインの平等が確約されているからこそ、人生スタート後の競争は熾烈な争いになります。人生の過程で多少でも手を抜いたら失敗するかもしれない。そんな緊張感を保ち続けた状態で常に自分自身を成長させていかなくてはいけません。

いくら逃げたくても、逃げればそこでゲームオーバー。逃げて諦めた途端に、あなたは敗者となります。

良いポジションをつかめず貧しくなった結果は、あなたの怠惰によるものですから。なんの言い訳も言えませんし、逃げたあたなをフォローしてくれる人もいないでしょう。

だって、みな平等の中みなが必死こいていいポジション取りを目指しているのですから。

「政府や世の中が悪い」が通用しない

現代においてよく『政府が悪い』だの、『世の中が悪い』だのという声が聞こえてきますが、「平等な社会」ではそんな考え方も通用しません。

なぜなら、すべては自己責任だからです。スタートに差がつかないよう階級や格差が取り除かれていれば、その他はすべて個々人の努力次第ということになります。政府や世の中は悪くないのです。悪いのは結果を出せなかったあなただから。

少し視点を変えれば、現代の不平等さをつくり出す政府や世の中は、はけ口の対象として優秀な機能を果たしていると思います。田舎に生まれた、貧しい、など生まれながらの生活環境は個人で変えることのできない事象です。自分が不幸だったのは、自分の責任ではないという責任転嫁を可能にします。

政府や世の中を批判する行為は、精神状態を保つ上で重要なことなのかもしれません。

反論:世界は平等を追い求める

一般的な世の中の流れとして、世界は平等を求めて動いています。

生まれながらの「階級」や「格差」は一部の人類を迫害してきた歴史があるため、「階級」や「格差」は悪として扱われるのです。人は生まれながらに平等であることに疑念の余地はありません。

世界人権宣言には人間の平等が明記されている

世界人権宣言には、人類の平等が明記されています。世界人権宣言の第一条です。

Article 1

All human beings are born free and equal in dignity and rights. They are endowed with reason and conscience and should act towards one another in a spirit of brotherhood.

Universal Declaration of Human Rights

和訳すると、

第一条 すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。

世界人権宣言(仮訳文)

つまり、人はみな平等であるということです。人種、性別によって差別が生まれてはならない。人間の命はみな平等であり、そこに格差があってはならないということが記されています。

生まれながらの格差は、公平に機会を与えません。与えられれば花開く芽を摘んでいると言えるでしょう。これは社会の発展にとっても由々しき問題です。

ノブレス・オブリージュという考え方

みなさんは、ノブレス・オブリージュという言葉を聞いたことはありますか?

ノブレス・オブリージュとは、「身分の高い者、豊かな者はそれにふさわしい義務を果たす必要がある」という考え方です。

ノブレス・オブリージュは階級・格差が前提になっている

ノブレス・オブリージュの考え方では、社会には階級や格差が存在することが前提とされています。階級や格差が前提とされる社会の中で、身分の高い者や豊かな者はそれ相応の振る舞いをする義務があるというのです。

実際の社会を見てみると、階級や格差がないとはいえません。上級国民や貧富の差、所得格差など、階級や格差の存在を表す言葉は多く存在します。「階級や格差がなくなって欲しい」という理想社会を願う一方で、ノブレス・オブリージュのような階級・格差が前提の考え方も存在することを知っておく必要があるでしょう。

まとめ:「平等」の厳しさを認識しておこう

今回は、「階級や格差がない平等な社会」について考えてきました。

世界人権宣言でも謳われているように、平等な社会は人類が追求すべき永遠のテーマです。生まれながらの格差に迫害され、差別を受けてきた人類史を振り返ると「平等」を求める行為は至極まっとうなあり方だと思います。

その一方で、「平等」がすべてを解決する魔法の杖でないことは認識しておくべきでしょう。それは、平等が自己責任を強いる性質を持っているからです。平等が成立した世界で生まれる貧富の格差は、すべて自分の責任となり、逃げることも他者に批判の矛先を向けることも許してくれません。

平等を追い求める私達は、平等に潜む裏側の厳しさも知っておく必要があるのです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。

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みむら たけし

土木屋/国家総合職・国家一般職・都庁・県庁の4公務員試験に合格/野球10年/サッカー好き/イギリス・スペインでサッカー観戦(マンU・バルサ・レアル)/カリフォルニア州にホームステイ/全国400店舗達成/“Stay hungry, stay foolish”/2021年3月からブログ運用中!!

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